Law of animal

動物六法

獣医療法

制  定 平成 04年 05月 20日 法律第 046号
最近改正 平成 23年 08月 30日 法律第 105号
(目的)
第1条  この法律は、飼育動物の診療施設の開設及び管理に関し必要な事項並びに獣医療を提供する体制の整備のために必要な事項を定めること等により、適切な獣医療の確保を図ることを目的とする。
(定義)
第2条  この法律において「飼育動物」とは、獣医師法(昭和24年法律第186号)第1条の2に規定する動物をいう。
 2 この法律において「診療施設」とは、獣医師が飼育動物の診療の業務を行う施設をいう。
(診療施設の開設の届出)
第3条  診療施設を開設した者(以下「開設者」という。)は、その開設の日から10日以内に、当該診療施設の所在地を管轄する都道府県知事に農林水産省令で定める事項を届け出なければならない。当該診療施設を休止し、若しくは廃止し、又は届け出た事項を変更したときも、同様とする。
(診療施設の構造設備の基準)
第4条  診療施設の構造設備は、農林水産省令で定める基準に適合したものでなければならない。
(診療施設の管理)
第5条  開設者は、自ら獣医師であってその診療施設を管理する場合のほか、獣医師にその診療施設を管理させなければならない。
 2 前項の規定により診療施設を管理する者 (以下「管理者」という。)が、その構造設備、医薬品その他の物品の管理及び飼育動物の収容につき遵守すべき事項については、農林水産省令で定める。
(診療施設の使用制限命令等)
第6条  都道府県知事は、診療施設の構造設備が第4条の基準に適合していないと認めるとき、又は診療施設に関し、前条第2項に規定する事項が遵守されていないと認めるときは、その開設者に対し、期間を定めて、その全部若しくは一部の使用を制限し、若しくは禁止し、又は期限を定めて、修繕若しくは改築を行うべきことその他必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
(往診診療者等への適用等)
第7条  往診のみによって飼育動物の診療の業務を自ら行う獣医師及び往診のみによって獣医師に飼育動物の診療の業務を行わせる者 (以下「往診診療者等」という)については、その住所を診療施設とみなして、第3条の規定を適用する。
 2  第5条の規定は、農林水産省令で定める診療用機器その他の物品(以下「診療用機器等」という。)を所有し、又は借り受けてこれを使用する往診診療者等について準用する。この場合において、同条中「診療施設」とあり、及び「構造設備、医薬品その他の物品の管理及び飼育動物の収容」とあるのは、「診療用機器等」と読み替えるものとする。
 3  都道府県知事は、診療用機器等に関し前項において読み替えて準用する第5条第2項に規定する事項が遵守されていないと認めるときは、その診療用機器等を所有し、又は借り受けてこれを使用する往診診療者等に対し、期限を定めて、必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
(報告の徴収及び立入検査)
第8条  農林水産大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、開設者若しくは管理者に対し、必要な報告を命じ、又はその職員に、診療施設に立ち入り、その構造設備、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
 2  農林水産大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、往診診療者等又は前条第2項において読み替えて準用する第5条第2項の管理者に対し、必要な報告を命じ、又は検査のため診療用機器等、帳簿、書類その他の物件を提出させることができる。
 3  第1項の規定により立ち入り検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
 4  第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(国の開設する診療施設の特例)
第9条  国の開設する診療施設に関しては、この法律の規定の適用について、政令で特別の定めをすることができる。
(獣医療を提供する体制の整備のための基本方針)
第10条  農林水産大臣は、獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針(以下「基本方針」という)を定めなければならない。
 2  基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
  一  獣医療の提供に関する基本的な方向
  二  診療施設の整備及び獣医師の確保に関する目標の設定に関する事項
  三  獣医療を提供する体制の整備が必要な地域の設定に関する事項
  四  診療施設その他獣医療に関連する施設の相互の機能及び業務の連携に関する基本的事項
  五  獣医療に関する技術の向上に関する基本的事項
  六  その他獣医療を提供する体制の整備に関する重要事項
 3  農林水産大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更するものとする。
 4  農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、獣医事審議会の意見を聞かなければならない。
 5  農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更してときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(都道府県計画)
第11条  都道府県は、基本方針に即して、農林水産省令で定めるところにより、当該都道府県における獣医療を提供する体制の整備を図るための計画(以下「都道府県計画」という。)を定めることができる。
 2  都道府県計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。。
  一 整備をおこなう診療施設の内容その他の診療施設の整備に関する目標
  二 獣医療を提供する体制の整備が必要な地域
 3  都道府県計画においては、前号各号に掲げる事項のほかに、次に掲げる事項を定めるよう努めるものとする。
  一  獣医師の確保に関する目標
  二  相互の機能及び業務の連携をおこなう施設の内容及びその方針
  三  診療上必要な技術の研修の実施その他の獣医療に関する技術の向上に関する事項
  四  その他獣医療を提供する体性の整備に関し必要な事項
 4  都道府県は、都道府県計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表公表するとともに、農林水産大臣に報告しなければならない。
(関係団体の協力)
第12条  都道府県知事は、都道府県計画の達成に資するため必要があると認めるときは、獣医師が組織する団体、農業者が組織する団体その他の団体に対し、獣医療の提供、研修の実施その他必要な協力を求めるものとする。
(設備等の提供)
第13条  開設者及び管理者は、都道府県計画の達成に資するため、その診療施設の業務に差し支えないかぎり、その建物の全部又は一部、設備、器械及び器具をその診療施設に勤務しない獣医師の診療、研究又は研修のために利用させるように努めるものとする。
(診療施設整備計画の認定)
第14条  都道府県計画に基づいて、診療施設の整備を図ろうとする者は、診療施設の整備に関する計画(以下「診療設備計画」という。)を作成し、これを都道府県知事に提出して、当該診療施設整備計画が適当である旨の認定を受けることができる。
 2  診療施設整備計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
  一  診療施設の整備の目標
  二  診療施設の整備の内容及び実施時期
  三  診療施設の整備を実施するのに必要な資金の額及びその調達方法。
 3  都道府県知事は、第1項の認定の申請があった場合において、農林水産省令で定めるところにより、その診療施設整備計画が、都道府県計画に照らし適切なものであり、かつ、畜産業の振興に資するための診療施設の整備に係るものであると認めるときは、その認定をするものとする。
 4  前3項に規定するものの他、診療施設整備計画の認定及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。
(株式会社日本政策金融公庫からの資金の貸付け)
第15条  株式会社日本政策金融公庫は、株式会社日本政策金融公庫法(平成19年法律第57号)第11条に規定する業務のほか、前条第1項の認定を受けた者に対し、畜産業の持続的活健全な発展に資する長期かつ低利の資金であって当該認定に係る診療施設整備計画に従って診療施設の整備を実施するために必要なもの(他の金融機関が融通することを困難とするものであって、資本市場からの調達が困難なものに限る。)のうち農林水産大臣及び財務大臣の指定するものの貸付けの業務を行うことができる。
 2  前項に規定する資金の貸付けの利率、償還期限及び据置期限については、政令で定める範囲内で、株式会社日本政策金融公庫が定める。
 3  第1項の規定により株式会社日本政策金融公庫が行う同項に規定する資金の貸付けについての株式会社日本政策金融公庫法第11条第1項第六号、第12条第1項、第31条第1項第一号ロ、第41条第二号、第53条、第58条、第59条第1項、第64条第1項第四号、第73条第三号及び別表第2第九号の規定の適用については、同法第11条第1項第六号中「除く。)」とあるのは「除く。)及び獣医療法第15条第1項に規定する業務」と、同法第12条第1項中「同項第五号」とあるのは「獣医療法第15条第1項に規定する業務並びに前条第1項第五号」と、同法第31条第2項第一号ロ、第41条第二号及び第64条第1項第四号中「又は別表第2第二号に掲げる業務」とあるのは「、別表第2第二号に掲げる業務又は獣医療法第15条第1項に規定する業務並びに第11条第1項第五号」と、同法第53条中「同項第五号」とあるのは「獣医療法第15条第1項に規定する業務並びに第11条第1項第五号」と、同法第58条及び第59条第1項中「この法律」とあるのは「この法律、獣医療法」と、同法第73条第三号中「第11条」とあるのは、第11条及び獣医療法第15条第1項」と、同法別表第2第九号中「又は別表第1第一号から第十四号までの下欄に掲げる資金の貸し付けの業務」とあるのは、「別表第1第一号から第十四号までの下欄に掲げる資金の貸し付けの業務又は獣医療法第15条第1項に規定する業務」とする。
(基本方針等の達成のための援助)
第16条  国及び都道府県は、基本方針及び都道府県計画の達成に資するため、開設者及び管理者その他の関係者に対する助言、指導その他の援助の実務に努めるものとする。
(広告の制限)
第17条  何人も、獣医師(獣医師以外の往診診療者等を含む。第二号を除き、以下この条において同じ。)または診療施設の業務に関しては、次に掲げる事項を除き、その技能、療法又は経歴に関する事項を広告してはならない。
  一  獣医師又は診療施設の専門科名
  二  獣医師の学位または称号
 2  前項の規定にかかわらず、獣医師又は診療施設の業務に関する技能、療法又は経歴に関する事項のうち、広告しても差し支えの無いものとして農林水産省令で定めるものは、広告することができる。この場合において、農林水産省令の定めるところにより、その広告の方法その他の事項について、必要な制限をすることができる。
 3  農林水産大臣は、前項の農林水産省令を制定し、又は廃止しようとするときは、獣医事審議会の意見を聞かなければならない。
 
第18条 削除
(経過措置)
第19条  この法律に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(罰則)
第20条  次の各号の1に該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
  一  第6条又は第7条第3項の規定による命令に違反した者
  二  第17条第1項の規定に違反した者
 
第21条  次の各号の一に該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
  一  第3条の規定に違反をして届出をせず、又は虚偽の届け出をした者。
  二  第5条第1項(第7条第2項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者。
  三  第8条第1項若しくは第2項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、同条第1項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同条第2項の規定による物件の提出をしなかった者。
 
第22条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前2条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の刑を科する。

 

附則

附則 抄 (平成04年05月20日 法律第046号)
(施行期日)
第1条  この法律は、獣医師法の一部を改正する法律(平成4年法律第45号。以下「改正法」という。)の施行の日から施行する。
(経過措置)
第2条  改正法による改正前の獣医師法第22条の規定による届出をした者は、第3条の規定による届出をした者とみなす。
附則 抄 (平成19年05月25日 法律第 58号)
(施行期日)
第1条  この法律は、平成20年10月1日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第8条  この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第9条  付則第2条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(調整規定)
第10条  この法律及び株式会社商工組合中央金庫法(平成19年法律第74号)、株式会社日本政策投資銀行法(平成19年法律第85号)又は地方公営企業等金融機構法(平成19年法律第64号)に同一の法律の規定についての改正規定がある場合において、当該改正規定が同一の日に施行されるときは、当該法律の規定は、株式会社商工組合中央金庫法、株式会社日本政策投資銀行法又は地方公営企業等金融機構法によってまず改正され、次いでこの法律によって改正されるものとする。
附則 抄(平成23年08月30日 法律第105号) 抄
第1条  この法律は、公布の日〔平成23年8月30日〕から施行する。