Law of animal

動物六法

 犬及び猫の引取り並びに負傷動物の収容に関する処置について

制  定: 平成 18年 01月 20日 環境省告示第026号
最近改正: 令和 04年 05月 26日 環境省告示第054号

 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)第18条第5項(同法 第19条第3項において準用する場合を含む。)等の規定に基づき、犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について次のように定め、平成18年6月1日から適用する。

   動物の愛護及び管理に関する法律(以下「法」という。)第35条第1項本文及び第3項の規定による犬又は猫の引取り並びに法第36条第2項の規定による疾病にかかり、又は負傷した犬、猫等の動物及び動物の死体の収容に関する措置は、次によるものとする。
 
第1 犬及び猫の引取り
 1  都道府県等(法第35条第1項本文に規定する都道府県等をいう。以下同じ。)の長(以下「都道府県知事等」という。)は、犬又は猫の引取りの場所等の指定に当たっては、住民の便宜を考慮するとともに、引取りの場所等について、住民への周知徹底に努めること。また、都道府県等は、この引取り措置は、緊急避難として位置付けられたものであり、今後の終生飼養、みだりな繁殖の防止等の所有者又は占有者の責任の徹底につれて減少していくべきものであるとの観点に立って、引取り又は引き取りの拒否を行うように努めること。
 2  都道府県知事等は、所有者から犬又は猫の引取りを求められたときは、終生飼養、みだりな繁殖の防止等の所有者又は占有者の責任の徹底を図る観点から、引取りを求める相当の事由がないと認められる場合にあっては、法第35条第1項ただし書の規定に基づき、引取りを行わない理由を十分説明した上で、引取りを拒否するよう努めること。ただし、生活環境の保全上の支障を防止するため必要と認められる場合については、引取りを求める事由、頻度及び頭数に応じて、飼養の継続及び生殖を不能にする不妊又は去勢その他の措置に関する必要な助言を行った上で引取りを行うこと。
 3  都道府県知事等は、所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその拾得者その他から求められたときは、周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれがあると認められる場合又は動物の健康や安全を保持するために必要と認められる場合は、引取りを行うこと。ただし、当該事態が生ずるおそれがないと認められる場合など引取りを求める相当の自由がないと認められる場合にあっては、この限りでない。
 4  遺失物法(平成18年法律第73号)第4条第3項では、同条第1項及び第2項の規定について、法第35条第3項に規定する犬又は猫に該当する物件について同項の規定による引取りの求めを行った拾得者については、これを適用しないこととされていることを踏まえ、都道府県知事等は、都道府県警察との間で協力体制を構築すること。
 5  都道府県知事等は、法第35条第1項又は第3項の規定により引き取った犬又は猫について、引取り又は拾得の日時及び場所、引取り事由並びに特徴(種類、大きさ、毛色、毛の長短、性別、推定年月齢、装着している首輪等の識別器具の種類及びそれに付されている情報等)を台帳に記入すること。この場合において、所有者が判明していないときは、所有者がいる可能性があることに十分留意して対応することとし、都道府県知事等は、拾得場所を管轄する市町村の長に対し、当該台帳に記入した事項を通知するとともに、狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)第6条第8項の規定に準ずる措置を採るよう協力を求めること。ただし、他の法令に別段の定めがある場合を除き、明らかに所有者がいないと認められる場合等にあっては、この限りでない。
 6  都道府県知事等は、法第35条第3項の規定により引き取った犬又は猫について、マイクロチップ等の識別器具等の装着又は施術の状況について確認するように努めること。ただし、識別器具の装着ができないと考えられる幼齡の大又は猫については、この限りではない。
 6  都道府県知事等は、法第35条第1項本文又は第3項の規定により引き取った犬又は猫について、必要に応じて治療を行うこと。ただし、治療を加えても生存することができず、又は治療することがかえって苦痛を与え、若しくは長引かせる結果になる場合等、死期を早めることが適当であると獣医師又は都道府県知事等が判断した場合にあっては、この限りでない。
 
第2 負傷動物等の収容
 1  法第36条第2項の規定による動物及び動物の死体の収容は、都道府県知事等が、施設の収容力及び構造並びに人員の配置状況、当該地域における疾病にかかり、若しくは負傷した動物(以下「負傷動物」という。)又は動物の死体(以下「負傷動物等」という。)の発生状況等を踏まえ、法第44条に規定する愛護動物のうちから適切に選定して行うように努めること。
 2  都道府県知事等は、法第36条第2項の規定による通報があったときは、公共の場所を管理する者等関係者の協力を得て、負傷動物等を迅速に収容するよう努めること。
 3  第1の4から7までの規定は、都道府県知事等が負傷動物等を収容した場合について準用する。
 
第3 保管、返還及び讓渡し
 1  都道府県知事等は、犬若しくは猫を引き取り、又は負傷動物を収容したときは、その健康及び安全の保持等を図る観点から、構造等が適正な施設及び方法によって保管すること。
 2  都道府県知事等は、殺処分がなくなることを目指して、施設に保管する犬、猫等の動物(以下「保管動物」という。)のうち、所有者がいると推測されるものについては公報、インターネット等による情報の提供等により、また、犬又は猫に装着されたマイクロチップの標識番号の明らかなものについては環境大臣(指定登録機関が登録関係事務を行う場合にあっては、指定登録機関。以下同じ)又は登録団体等への照会等により、 当該保管動物の所有者の発見に努めること。
 3  所有者がいないと推測される保管動物、所有者から引取りを求められた保管動物及び所有者の発見ができない保管動物について、家庭動物又は展示動物としての適性を評価し、適性があると認められるものについては、その飼養を希望する者を募集する等により、できるだけ生存の機会を与えるように努めること。
 4  保管動物の飼養を希望する者の募集は、近隣の都道府県知事等との連携を図りつつ、できる限り広域的に行うように努めること。この際、保管動物に関する情報の提供については、インターネット等の活用により広域的かつ迅速に行われるように努めること。
 5  保管動物の護渡しに当たっては、飼養を希望する者に対して事前に飼養方法等に関する講習等を行うとともに、マイクロチップの装着及び環境大臣への登録並びに不妊又は去勢の措置が確実に行われるようにするための措置を講じるように努めること。また、飼養を希望する者が第2種動物取扱業に該当する場合にあっては、適切に届出がなされているか等について確認を行うこと。
 6  施設における保管の期間は、できる限り、保管動物の所有者、飼養を希望する者等の便宜等を考慮して定めるように努めること。
 7  保管動物の飼養を希望する者の募集、保管動物の譲渡し後の飼養の状況を確認するための調査等の業務については、必要に応じて動物愛護推進員、動物の愛護を目的とする団体等との連携を広く図りつつ行うように努めること。
 8  保管動物の所有者及び飼養を希望する者の便宜を考慮して返還及び譲渡しを行う場所等の指定を行うとともに、それらについて周知に努めること。
 
第4 処分
   保管動物の処分は、所有者への返還、飼養を希望する者への譲渡し及び殺処分とする。
 
第5 死体の処理
 動物の死体は、専用の処理施設を設けている場合には当該施設において処理し、専用の処理施設が設けられていない場合には廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第l37号)の定めるところにより処理するなど適切な措置を講ずること。
 
第6 報告
   都道府県知事等は、犬若しくは猫の引取り又は負傷動物の収容、これらの処分及び収容中の死亡の状況を、別記様式により、環境省自然環境局長に報告すること。