ブックタイトルshiikutetyou

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概要

shiikutetyou

はじめに なぜ、学校で動物を飼育するのでしょう? それは動物を飼うことで自然や生き物への親しみをもち、それらを大切にするとともに、生命を尊重する心情や態度を養うためです。いわば「心の教育」の一環として学校で動物を飼育することが提唱されています。ある研究によれば、児童、学校ともに動物飼育への関与が高く、指導や教育的ねらいもしっかりしており、獣医師への相談にもよく行っている場合、学校での動物の世話や触れ合いは、学校適応や動物・人への思いやりを高める効果をもつ事が明らかであるとしています。 しかしながら動物を、責任をもって飼い続けるということは大変なことです。毎日の餌やりから水替え、飼育小屋の掃除、あるいは、適度な運動や温度管理、そして病気の早期発見とその手当て等、動物の命を守るために自分の果たさなければならない務めを、自分の都合で勝手に変えることは出来ないからです。だからこそ生き物を飼うという試みを通して身につく事柄も多いのです。 学校という場で飼育活動を行うことは、動物たちとの触れ合いを通してこそ育つ大切な教育効果をもちます。つまり特定の動物をある期間飼育して、動物への愛着を培った場合の効果として① 愛する心の育成をはかる② 自分への肯定感・自尊心を培う③ 生命尊重・責任感を培う④ 謙虚さを知る⑤ 協力する気持ちを養う⑥ 人を思いやる心・共感を養う⑦ 科学的視点を得る⑧ ハプニングへの対応力を高める⑨ マザリング効果があるとされています。 一方、このような「動物介在教育」において大人が飼育環境を整え、適切な飼育方法を指導する事は必要不可欠ですが、ほとんどの学校の先生は本来の授業の時間をこなすのに精一杯で、動物の問題に十分な時間を費やし、子どもたちに飼育指導をする時間的余裕がないと思います。この学校動物飼育のしおりは、忙しい先生たちが動物のことを短時間で理解できるように作成したものです。児童の皆さんに指導するときの参考にしてください。平成30年4月公益社団法人 横浜市獣医師会会長 井上亮一3