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野生動物をペットとして飼うことに反対する

分類

新聞広告

掲載媒体

朝日新聞

掲載日

平成6年3月27日

 動物にはペットとして飼えるものと、そうでないものがあります。我々の先人達は、一万数千年前から人間と共棲できる動物を正しく見極め選んでペット(あるいは家畜)としてきました。これらに適さない動物に対しては遠くから眺め一線をおいて共存してきたのです。犬や猫は長い歴史の中で人と共に暮らせるよう選択交配されてきました。従って人と共棲しなければ生きてゆけなくなってしまった動物ともいえます。

 ところが最近では先人達の深慮を無視しペットに適さない動物(猿類や爬虫類等を始めとする野生動物)を人間本位の欲望で飼う風潮がみられます。折角自然の中で自ら生きている動物を捕らえ無理やり共棲を強いているのです。

 この様な動物達の行動や生理、疾病(特に人畜共通感染症)についてはまだ十分に研究されていません。敢えて言えば人間に飼われることによって苦痛を強いられ命を短くしているのが現実です。
 単に可愛いから、きれいだから、面白いから、珍しいからという理由でこの様なペットに適さない動物を捕らえ、あるいは買い求めて飼育することに対し−そして彼らの住処をこれ以上壊すことに対し−我々獣医師は強く反対します。

社団法人 横浜市獣医師会
会長 松倉次郎