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動物に対する人間の思い上がり
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朝日新聞 掲載日
平成13年3月25日 自然は、その意に適した生き物を創造してきました。例えば犬科の動物であればオオカミに似た格好がごく自然の形と言えます。ところが人間はこの一万数千年にわたって自分達に都合のよい犬種を選択交配という手段で変造してきました。
犬ほど数多くの種類に変造された動物はありません。人間と暮らす上で都合のよい性格重視の選択交配であれば、それは許されるかも知れません。しかし、なかには興味本位でおかしな格好の犬を変造してきたことも事実です。これは動物のためを考えた上での選択交配ではありません。そのために動物は生まれながらにして身体的な不幸を味わわされているものもあります。強いて例えれば、ブルドックなどは人間の造り出した欠点だらけの種類と言えるでしょう。自然分娩は難しく多くは帝王切開が必要です。パグやペキニーズと同様に鼻先の潰れた短頭種として生まれながら呼吸のし難い生活を毎日強いられているといってもよいでしょう。もちろんこうした体型であれば目や歯や鼻の病気も当然多くなります。
敢えて言わせて戴ければ、こうした犬種を造り出した人間、そしてこうした種類を飼いたいと考える側にも責任があるのではないでしょうか。あらゆる面で、そろそろ動物に対する人間の思い上がりを反省する時期にきていると、我々獣医師は考えます。社団法人 横浜市獣医師会
会長 中川秀樹