野生動物には野生の生活を

　自然はその環境に併せて動物たちを造ってきました。ところが最近では、自然に逆らった行為が私たち人間の間に垣間見られるようになってきました。

　与えられた自然の中で幸せに暮らしている動物たちをただ単に自らの欲求を満たすがために捕らえあるいは購入し、敢えて不自然な環境の中で飼育している方々がいます。例えばプレイリードッグ、ゼブラマウスなどの齧歯類やカミツキガメ、ワニ、トカゲ、ヘビといった爬虫類がまさにその動物たちです。このような野生の動物たちは不自然な生活を強いられるだけでなく、一度飼主に飽きられ飼育不能になれば捨てられるのが落ちです。

　かつて流行ったアライグマやリス達あるいはブラックバスなどの外来魚が、今や日本固有の生態系を破壊しつつあることも事実です。もちろん人間という大きな視野に立てば自然のしっぺ返しに他なりませんが、やはり一部の飼主や不心得者の仕業の結果と言えます。

　単に珍しいから、面白いから可愛いからといった自己満足から、こうした野生動物を飼うことは動物虐待に通ずると同時に事前を破壊し、多くの人たちに迷惑を及ぼす行為に他なりません。

　我々獣医師はこうした飼主に対し憤りを感じると同時に彼等のすみかをこれ以上破壊することに対しても強く反対します。