Law of animal

動物六法

 家庭動物等の飼養及び保管に関する基準

制  定: 平成 14年 05月 28日 環境省告示第 037号
改  正: 令和 04年 05月 26日 環境省告示第 054号

 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)第5条第4項の規定に基づき、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準を次のように定める。

 
第1 一般原則
 1  家庭動物等の所有者又は占有者(以下「所有者等」という。)は、命あるものである家庭動物等の適正な飼養及び保管に責任を負う者として、動物の健康及び安全を維持しつつ、その生態、習性及び生理を理解し、愛情をもって家庭動物等を取り扱うとともに、その所有者は、家庭動物等をその命を終えるまで適切に飼養(以下「終生飼養」という。)するように努めること。
 2 所有者等は、人と動物との共生に配慮しつつ、人の生命、身体又は財産を侵害し、及び生活環境を害することがないよう責任をもって飼養及び保管に努めること。
 3  家庭動物を飼養しようとする者は、飼養に先立って、当該家庭動物等の生態、習性及び生理に関する知識の習得に努めるとともに、将来にわたる飼養の可能性について、住宅環境及び家族構成の変化や飼養する動物の寿命等も考慮に入れ、慎重に判断するなど、終生飼育の責務を果たす上で支障が生じないように努めること。
 4  特に、家畜化されていない野生動物等については、本来その飼養及び保管のためには当該野生動物等の生態、習性及び生理に即した特別の飼養及び保管のための諸条件を整備し、及び維持する必要があること、譲渡しが難しく飼養の中止が容易でないこと、人に危害を加えるおそれのある種が含まれていること等から限定的であるべきこと及び適正な飼養には十分な経費等が必要であることを認識し、その飼養に先立ち慎重に検討すること。さらに、これらの動物は、ひとたび逸走等により自然生態系に移入した場合には、生物多様性の保全上の問題が生じるおそれが大きいことから、飼養者の責任は重大であり、この点を十分自覚すること。
 
第2 定義
  この基準において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
  (1)  動物 哺乳類、鳥類及び爬虫類に属する動物をいう。
  (2)  家庭動物等 愛がん動物又は伴侶動物(コンパニオンアニマル)として家庭等で飼養及び保管されている動物並びに情操の涵養及び生態観察のため飼養及び保管されている動物をいう。
  (3)  管理者 情操の涵養及び生態観察のため飼養及び保管されている動物並びにその飼養及び保管のための施設を管理する者をいう。
 
第3 共通基準
 1 健康及び安全の保持
 所有者等は、次の事項に留意し、家庭動物の種類、生態、習性及び生理に応じた必要な運動、休息及び睡眠を確保し、並びにその健全な成長及び本来の習性の発現を図るように努めること。
  (1)  家庭動物等の種類、発育状況等に応じて適正に餌及び水を給与すること。
  (2)  疾病及びけがの予防等の家庭動物等の日常の健康管理に努めるとともに、疾病にかかり、又は負傷した家庭動物等については、原則として獣医師により速やかに適切な措置が講ぜられるようにすること。みだりに、疾病にかかり、または負傷した動物の適切な保護を行わないことは、動物の虐待となるおそれがあることを十分認識すること。また、家庭動物等の訓練、しつけ等は、その種類、生態、習性及び生理を考慮した適切な方法で行うこととし、みだりに、殴打、酷使する等は、虐待となるおそれがあることを十分に認識すること。
  (3)  所有者等は、適正な飼養及び保管に必要なときは、家庭動物等の種類、生態、習性及び生理を考慮した飼養及び保管のための施設(以下「飼養施設」という。)を設けること。飼養施設の設置に当たっては、適切な日照、通風等の確保を図り、施設内における適切な温度や湿度の維持等適切な飼養環境を確保するとともに、適切な衛生状態の維持に配慮すること。
 2  生活環境の保全
  (1)  所有者等は、自らが飼養及び保管する家庭動物等が公園、道路等公共の場所及び他人の土地、建物等を損壊し、又はふん尿その他の汚物、毛、羽毛等で汚すことのないように努めること。
  (2)  所有者等は、自らが飼養及び保管する家庭動物等を、みだりに、排せつ物の堆積した施設又は他の動物の死体が放置された施設であって自己の管理するものにおいて飼養及び保管することは虐待となるおそれがあることを十分認識し、家庭動物等のふん尿その他の汚物、毛、羽毛等の適正な処理を行うとともに、飼養施設を常に清潔にして悪臭、衛生動物の発生の防止を図り、周辺の生活環境の保全に努めること。
 3 適正な飼養数
 所有者等は、その飼養及び保管する家庭動物等の数を、適切な飼養環境の確保、終生飼養の確保及び周辺の生活環境の保全に支障を生じさせないよう適切な管理が可能となる範囲内とするよう努めること。また、適切な管理を行うことができない場合、虐待となるおそれがあることを十分認識すること。
 4 繁殖制限
 所有者は、その飼養及び保管する家庭動物等が繁殖し、飼養数が増加しても、適切な飼養環境及び終生飼養の確保又は適切な譲渡が自らの責任において可能である場合を除き、原則としてその家庭動物等について去勢手術、不妊手術、雌雄の分別飼育等その繁殖を制限するための措置を講じること。
 5 動物の輸送
 所有者等は、家庭動物等の輸送に当たっては、次の事項に留意し、動物の健康及び安全の確保並びに動物による事故の防止に努めること。
  (1)  家庭動物等の疲労及び苦痛をできるだけ小さくするため、なるべく短い時間による輸送方法を選択するとともに、輸送時においては必要に応じ適切な休憩時間を確保すること。
  (2)  家庭動物等の種類、性別、性質等を考慮して、適切に区分して輸送する方法をとるとともに、輸送に用いる容器等は、動物の安全の確保及び動物の逸走を防止するために必要な規模及び構造のものを選定すること。
  (3)  輸送中の家庭動物等に適切な間隔で給餌及び給水するとともに、適切な温度、湿度等の管理、適切な換気の実施等に留意すること。
 6  人と動物の共通感染症に係る知識の習得等
  (1)  所有者等は、その所有し、又は占有する家庭動物等と人に共通する感染性の疾病について、動物販売業者が提供する情報その他の情報をもとに、獣医師等十分な知識を有する者の指導を得ることなどにより、正しい知識を持ち、その飼養及び保管に当たっては、感染の可能性に留意し、適度な接触にとどめるなどの予防のために必要な注意を払うことにより、自らの感染のみならず、他の者への感染の防止にも努めること。
  (2)  家庭動物等に接触し、又は家庭動物等の排せつ物等を処理したときは、手指等の洗浄を十分行い、必要に応じ消毒を行うこと。
 7 逸走防止等
 所有者等は、次の事項に留意し、家庭動物等の逸走の防止のための措置を講ずるとともに、逸走した場合には、自らの責任において速やかに捜索し捕獲すること。
  (1)  飼養施設は、家庭動物等の逸走の防止に配慮した構造とすること。
  (2)  飼養施設の点検等、逸走の防止のための管理に努めること。
  (3)  逸走した場合に所有者の発見を容易にするため、マイクロチップを装着する等の所有明示をすること。
 8 危害防止
 所有者等は、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)第25条の2に規定する特定動物その他の大きさ、闘争本能等にかんがみ人に危害を加えるおそれのある動物(以下「人に危害を加えるおそれのある家庭動物等」という。)を飼養及び保管する場合には、次の事項に留意し、逸走の防止等、人身事故の防止に万全を期すこと。
  (1)  飼養施設は、動物が逸走できない構造とすること。
  (2)  飼養施設は、飼養に当たる者が、危険を伴うことなく作業ができる構造とすること。
  (3)  所有者等は、人に危害を加えるおそれのある家庭動物等の逸走時の措置についてあらかじめ対策を講じ、逸走時の事故の防止に努めること。
  (4)  所有者等は、飼養施設を常時点検し、必要な補修を行うとともに、施錠の実施状況や飛来物の堆積状況の確認をするなど逸走の防止のための管理に万全を期すこと。
  (5)  捕獲等のための機材を常備し、当該機材については常に使用可能な状態で整備しておくこと。
  (6)  所有者等は、人に危害を加えるおそれのある家庭動物等が飼養施設から逸走した場合には、速やかに関係機関への通報を行うとともに、近隣の住民に周知し、逸走した動物の捕獲等を行い、家庭動物等による事故の防止のため必要な措置を講ずること。
  (7)  所有者等は、特定動物の飼養又は保管が困難になった場合における措置として譲渡先または譲渡先を探すための体制を確保すること。
 9 緊急時対策
 所有者等は、関係行政機関の指導、地域防災計画等を踏まえて、地震、火災等の非常災害に際してとるべき緊急措置を定めるとともに、避難先における適正な管理が可能となるための移動用の容器、非常食の用意等、避難に必要な準備を行うよう努めること。非常災害が発生したときは、速やかに家庭動物等を保護し、及び家庭動物等による事故の防止に努めるとともに、避難する場合には、できるだけ同行避難及びその家庭動物等の適切な避難場所の確保に努めること。
 10  
  (1)  犬及び猫のマイクロチップ装着等に係る飼い主の責務
 法第39条の2第2項に基づき、所有する犬又は猫にマイクロチップを装着した者は、法第39条の5第1項に基づき、当該マイクロチップを装着した日から30日を経過する日(その日までに当該犬又は猫の譲渡しをする場合にあっては、その譲渡しの日)までに、環境大臣(指定登録機関が登録関係事務を行う場合にあっては、指定登録機関。以下同じ。)の登録を受けること。
  (2)  法第39条の6第1項に基づき、犬猫販売業者以外の者であって、登録を受けた犬又は猫を当該犬又は猫に係る登録証明書とともに譲り受けたものは、当該犬又は猫を取得した日から30日を経過する日(その日までに当該犬又は猫の譲渡しをする場合にあっては、その譲渡しの日)までに環境大臣の変更登録を受けること。
  (3)  法第39条の5第8項に基づき、登録を受けたものは、動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(平成18年環境省令第1号。以下「施行規則」という。)第21条の7第7項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、変更を生じた日から30日を経過するまでに、その旨を環境大臣に届け出ること。
  (4)  法第39条の4に基づき、何人も、犬又は猫の健康及び安全の保持上支障が生ずるおそれがあるときを除き。当該犬又は猫に装着されているマイクロチップを取り外してはならないこと。
  (5)  法第39条の8に基づき、登録を受けた犬又は猫の所有者は、当該犬又は猫が死亡したとき、及び施行規則第21条の6の当該犬又は猫の健康及び安全の保持上支障が生ずるおそれがある場合に該当するものとして、獣医師がマイクロチップを取り外したときは、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出ること。
 
第4 犬の飼養及び保管に関する基準
 1 犬の所有者等は、さく等で囲まれた自己の所有地、屋内その他の人の生命、身体及び財産に危害を加え、並びに人に迷惑を及ぼすことのない場所において飼養及び保管する場合を除き、犬の放し飼いを行わないこと。ただし、次の場合であって、適正なしつけ及び訓練がなされており、人の生命、身体及び財産に危害を加え、人に迷惑を及ぼし、自然環境保全上問題を生じさせるおそれがない場合は、この限りでない。
  (1)  警察犬、狩猟犬等を、その目的のために使役する場合
  (2)  人、家畜、農作物等に対する野生鳥獣による被害を防ぐための追い払いに使役する場合
 2  犬の所有者等は、犬をけい留する場合には、けい留されている犬の行動範囲が道路又は通路に接しないように留意するとともに、犬の健康の保持に必要な運動量を確保するよう努めること。また、みだりに、健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させることは虐待となるおそれがあることを十分に認識すること。
 3  犬の所有者等は、頻繁な鳴き声等の騒音又はふん尿の放置等により周辺地域の住民の日常生活に著しい支障を及ぼすことのないよう努めること。
 4  犬の所有者等は、適当な時期に、飼養目的等に応じ、人の生命、身体及び財産に危害を加え、並びに人に迷惑を及ぼすことのないよう、適正な方法でしつけを行うとともに、特に所有者等の制止に従うよう訓練に努めること。
 5  犬の所有者等は、犬を道路等屋外で運動させる場合には、次の事項を遵守するよう努めること。
  (1)  犬を制御できる者が原則として引き運動により行うこと。
  (2)  犬の突発的な行動に対応できるよう引綱の点検及び調節等に配慮すること。
  (3)  運動場所、時間帯等に十分配慮すること。
  (4)  特に、大きさ及び闘争本能にかんがみ人に危害を加えるおそれが高い犬(以下「危険犬」という。)を運動させる場合には、人の多い場所及び時間帯は避けること。
 6  危険犬の所有者等は、当該犬の行動を抑制できなくなった場合に重大な事故を起こさないよう、道路等屋外で運動させる場合には、必要に応じて口輪の装着等の措置を講ずること。また、事故を起こした場合には、民事責任や刑事責任を問われるおそれがあることを認識すること。
 7  犬の所有者は、やむを得ず犬を継続して飼養することができなくなった場合には、適正に飼養することのできる者に当該犬を譲渡するように努めること。なお、都道府県等(法第35条第1項に規定する都道府県等をいう。以下同じ。)に引取りを求めても、終生飼養の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合には、これが拒否される可能性があることについて十分認識すること。
 8  犬の所有者は、子犬の譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないように努めるとともに、法第22条の5の規定の趣旨を考慮し、適切な時期に譲渡するよう努めること。また、譲渡を受ける者に対し、社会化に関する情報を提供するよう努めること。
 
第5 猫の飼養及び保管に関する基準
 1  猫の所有者等は、周辺環境に応じた適切な飼養及び保管を行うことにより人に迷惑を及ぼすことのないよう努めること。
 2  猫の所有者等は、疾病の感染防止、不慮の事故防止等猫の健康及び安全の保持並びに周辺環境の保全の観点から、当該猫の屋内飼養に努めること。屋内飼養以外の方法により飼養する場合にあっては、屋外での疾病の感染防止、不慮の事故防止等猫の健康及び安全の保持を図るとともに、頻繁な鳴き声等の騒音又はふん尿の放置等により周辺地域の住民の日常生活に著しい支障を及ぼすことのないように努めること。
 3  猫の所有者は、繁殖制限に係る共通基準によるほか、屋内飼養によらない場合にあっては、原則として、去勢手術、不妊手術等繁殖制限の措置を講じること。
 4  猫の所有者は、やむを得ず猫を継続して飼養することができなくなった場合には、適正に飼養することのできる者に当該猫を譲渡するように努めること。なお、都道府県等に引取りを求めても、終生飼養の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合には、これが拒否される可能性があることについて十分認識すること。
 5  猫の所有者は、子猫の譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないように努めるとともに、法第22条の5の規定の趣旨を考慮し、適切な時期に譲渡するよう努めること。また、譲渡を受ける者に対し、社会化に関する情報を提供するよう努めること。
 6  飼主のいない猫を管理する場合には、不妊去勢手術を施して、周辺地域の住民の十分な理解の下に、給餌及び給水、排せつ物の適正な処理等を行う地域猫対策など、周辺の生活環境及び引取り数の削減に配慮した管理を実施するよう努めること。
 
第6 学校、福祉施設等における飼養及び保管
 1  管理者は、学校、福祉施設等の利用者が動物の適切な飼養及び保管について正しい理解を得ることができるように努めること。
 2  管理者は、動物の飼養及び保管の目的、学校、福祉施設等の立地及び施設の整備の状況並びに飼養又は保管に携わる者の飼養能力等の条件を考慮して、飼養及び保管する動物の種類を選定すること。
 3  異種又は複数の動物を同一施設内で飼養及び保管する場合には、その組合せを考慮した収容を行うこと。
 4  管理者は、動物の所有者としての責務を十分に自覚し、動物の飼養及び保管が、獣医師等十分な知識と飼養経験を有する者の指導の下に行われるように努め、本基準の各項に基づく適切な動物の飼養及び保管並びに動物による事故の防止に努めること。
 5  管理者は、学校、福祉施設等の休日等においても、動物の飼養及び保管が適切に行われるよう配慮すること。
 6  管理者は、飼養及び保管する動物に対して飼養に当たる者以外の者からみだりに食物等を与えられ、又は動物が傷つけられ、若しくは苦しめられることがないよう、その予防のための措置を講じるよう努めること。
 7  管理者は、地震、火災等の非常災害に際しても、動物の飼養及び保管が適切に行われるよう配慮すること。
 
第7 その他
   所有者等は、動物の逸走、放し飼い等により、野生動物の捕食、在来種の圧迫等の自然環境保全上の問題が生じ、人と動物との共生に支障が生じることがないよう十分な配慮を行うこと。
 
第8 準用
   家庭動物等に該当しない犬又は猫については、当該動物の飼養及び保管の目的に反しない限り、本基準を準用する。